だんだん成長する自分をイメージできること

子育て関連の本を読んでいて、強烈に印象に残ったことがありました。

丸山美和子『小学校までにつけておきたい力と学童期への見通し』(2005年、かもがわ出版)にあった、系列化の思考についてです。

系列化の思考というのは、大きい-小さいなどの二極ではなく、だんだん大きいとか、だんだん小さい、というような考え方のことです。子どもに「小さい丸からだんだん大きな丸を描いて」と指示すると、3歳ぐらいの子どもは大きさに頓着せずたくさん丸を描くだけなのですが、5歳ぐらいになるとおおよそそれらしく順番に大きさを変えて丸を描くようになるといいます。7歳ぐらいにはだいたい完成するそうです。

4歳ごろの子どもはこの系列化の思考が発達の途中にあるわけですが、このとき、大きな丸と小さな丸を交互に描くことが多いのだそうです。大きさの比較はできるけれど、「だんだん」の意味はまだよくつかめていない時期だといえます。この時期に、「重い・軽い」「上手い・下手」などさまざまな比較もできるようになってくるのですが、他人と自分を二元論的に自己評価するようになってくるというのです。

この時期に、自信がないことはやらないとか、わざとふざけるなどの行動が表れることがあるけれど、これをひきずらないような子育てが大事だと書いてありました。

自己評価が「上手か下手か」「一番かそうでないか」「かっこいいか、みっともないか」で揺れて、自信がないことに取り組むことができないまま大人になってしまっているとすると、極端な話、4歳児並みということですが、そういうところって多くの人にあるのではないでしょうか。

子どもを「上手」でおだてるのではなく、やれたことを一緒に喜んだり、他の子よりできなくても味方であったりすることが大事だと書かれてありました。

 私はこの論からパーソナリティ障害の人たちが持つスプリッティングという二極化思考のことを思い浮かべました。世の中が善い人と悪い人に分かれるように見えるといいますが、4歳ごろの何かが関係しているのかもしれないと思いました。この時期の子どもは比較されることにデリケートなのかもしれないです。

今の自分がダメだと感じていても、系列化の思考を使って、少しだけ進歩しようと思える、昨日より今日は少し頑張ったと自分を褒めることができる。そのような力が人生をどれだけ豊かにできるか、50代になった今ははっきりその大切さがわかります。今からでも遅くありません。4歳並みから5歳並みに成長したいと思います。