学びと育ち

だんだん成長する自分をイメージできること

子育て関連の本を読んでいて、強烈に印象に残ったことがありました。 丸山美和子『小学校までにつけておきたい力と学童期への見通し』(2005年、かもがわ出版)にあった、系列化の思考についてです。 系列化の思考というのは、大きい-小さいなどの二極では…

中高生の睡眠時間は8~10時間が望ましいと専門家は言っているけれど

10代の若者の睡眠時間を削ると、絶望感や自殺念慮が増える、という米国の研究があるのだそうです。前回紹介したこの本に出ていました。 望ましい睡眠時間は8時間から10時間なのだそうです。同じページに出ている調査では日本の高校生の半数以上が6時間以下の…

学習塾って結局何なんだろう

学習塾の講師を始めてそろそろ4年目にはいろうとしています。 アルバイトとはいえ、慣れてくれば専門性を問われます。個別指導なので心理カウンセラーの勉強で仕込んだスキルがかなり使えます。生徒さんとうまく気持ちがかみ合ってどんどん勉強がはかどって…

人格を磨くこととマインドフルネスの関係

ここで私はマインドフルネスという言葉をかなり広い意味で使っているので、言葉の意味を調べようと思って検索してここへたどりついた方は他のサイトでの使われ方の方を参考にしてくださいね。ここでは、以前とりあげた「トランス」やカウンセリング用語の「…

こころの整理がついてきました

私の勉強観うんぬんと書き綴ってなんだか偉そうな感じに書いてありますが、自慢したくて書いているのではありません。ほんとうにこれまで、なぜ人と違うのかがよくわからず混乱し自信を失っていました。 特に、息子が学校に行けなくなってしまってからは辛い…

私の勉強観について考えてみる(3)

たとえばある山に登るとします。山の頂点に立つことそのものが目的なら、歩いて登ろうが乗り物を使おうが、その目的は達成できますよね。 乗り物を使うほうが楽で速いかもしれません。 でも、山登りを楽しむ人は敢えて歩いて登っていますよね。山の空気のに…

私の勉強観について考えてみる(2)

今、関西地方に住んでいるのですが、土地柄として、茶道のような細やかな気配りや品のよさが重視されるように感じます。25年も住んでいるのですからもう慣れなければと思いつつ、本気でその世界にはいっていくことができず今に至っています。そのような風土…

私の勉強観について考えてみる(1)

「分析」と「俯瞰」とか、「見えないものへの信仰」とか、そういうことを私が書いていても、ピンとこない人もたくさんいるんじゃないかと心配しています。どうも、このあたりが、私が周囲に違和感を感じてきた部分に繋がっているような気配もします。もしか…

見えないものへの信仰と問題解決力

前例のない問いを解くということ。ここで考えているのは、災害などの危機を乗り切ったり、社会の矛盾に風穴を開けたり、といった大きな仕事のことです。その基礎としては、身近な生活の中で、壊れた道具を上手に修理したり、難しくなった人間関係を立て直し…

生き延びるための分析する力と俯瞰する力

分析する力と俯瞰する力をバランスよく使うことで、より高い問題解決力が身につく。 この数ヶ月、折にふれこの二つの力について思い起こしていました。もともとはこの本に出ていたことです。『学習の作法』(天流仁志、ディスカバー21)勉強の仕方を、「分…

学び続ける態度をどう若い人たちに伝えるか

教養は、学び続ける態度によって支えられているというか、それに近いことを一つ前の記事で書きました。それに直接関係するかどうか、中学生を見てて感じることがあります。学ぶことが嫌になっているのが、はっきり見て取れる子どもたちがいます。 仕方なく塾…

絶対音感と真の音感

私は自分の「絶対音感」が別な調にずれて聞こえてしまうことに、思い当たる節があります。 小学校6年生のときに、小学校の音楽の先生に移動ド法で歌唱するよう指導されたことです。ご存知の方も多いと思いますが、ヤマハ音楽教室では、何調の歌でも固定ド法…

世代間に受け継がれるもの

学校の勉強に関して、「調教」という言葉を出してみましたが、これにはややこしい歴史を考えに入れないといけないように思います。日本の教育を歴史的にたどるとそのルーツは藩校や寺子屋など江戸時代に求めることができるだろうと思います。子どもたちは武…

大事なことは時間に合わせることなのか、成長に合わせることなのか

教育の話題はいったん終わりにしようと思ったのですが、なんだかすっきりしないのでもうひとつ書きます。塾講師のアルバイトを始めてまだ数ヶ月ですが、教え方が下手だと、解き方じゃなくて答えを教えてしまうことになるのに気がついています。同じ教材を使…

倫理を論じることは結局教養を論じることになる

結果主義と倫理意識を並べて論じることに違和感を覚える人もいるのではないでしょうか。それほど結果主義は当たり前のようになってきました。(ここから読む方は前の記事も参考に)たとえば、企業が利益さえ上がればどんな手段をとっても良いのなら、最終的…

結果主義が残したもの

1980年ごろといえば、大学入試に共通一次試験が導入された時期に一致します。私が行った高校では国公立大学に入った人数が重要でしたから、学校が率先して試験対策優先の授業に走っていった背景の一つには大学入試制度の問題もあるだろうと思います。 でも、…

勉強法と倫理感覚の関係

前回に続き、藤澤伸介『ごまかし勉強〈上〉学力低下を助長するシステム』『ごまかし勉強〈下〉ほんものの学力を求めて』(新曜社)の話を。著者は勉強法を正統派とごまかし勉強に大別し、ごまかし勉強が蔓延していると書いているのですが、それは保護者、教…

1980年頃の学校に何が起こっていたか

藤澤伸介『ごまかし勉強〈上〉学力低下を助長するシステム』(新曜社)では、勉強のやり方を「正統派」と「ごまかし」に分けています。あまり意味も考えず丸暗記するような試験勉強をやった経験は多くの人にあるのではないかと思いますが、そういう類の勉強…

本当の学び方を取り戻す

ところで、数ヶ月前から塾講師をしています。アルバイトを始めたのにはいろいろ理由はありますが、なぜ塾講師を選んだのかという理由の一つは、塾というところを知っておきたかったということがあります。 私は学習塾に行かずに大学に入り卒業してしまったし…

葛藤することが人を深い場所に連れて行く

世の中のつじつまの合わないことは、同じものの表と裏であったり、正面と側面であったりすることに気づくときがあります。意見が対立していても、相手の持つ文脈を理解することで合意の道筋を探ることができます。そんなことを考えていたところでした。ちょ…

計算ドリルと漢字ドリルに感じた嫌悪感を今も忘れない

向山洋一という教育家の方が、計算や漢字のドリルの弊害について述べたものを最近読ませてもらいました。新聞のコラムです→解答乱麻 手抜きでドリル教材を使う害 TOSS代表・向山洋一 できる問題を何度もやらされることで、勉強嫌いになるという趣旨のこ…

スキルは身につけるもの、技は磨くもの、便利と依存は紙一重

私たちが日常的にやっていることのほとんどは、生まれてから今までの間に身につけたスキルを使って行っています。 歩くこと、しゃべること、ものを運ぶこと、に始まって、 着替える、顔を洗う、掃除をする、料理をする、皿を洗う、 どれをとっても、少しずつ…

日本の高校はほんとうにこれでいいのか

会社から自己啓発として資格取得を命じられ、プライベートな時間が制約されるという話があります。こんな方法で人間を拘束することができるんですね。学校から大量の宿題が出されて、自由な時間がなくなるというのに似ています。 ついでに言えば、正規の授業…

論文とは何か、何のためにあるのか。

論文は、本屋さんや街の公共図書館で見かけることはあまりありません。一般の人の目に触れる場所にはないものです。ときどきニュースで、学者が新しい研究発表をしたという情報が流れますが、そのときは外国の論文雑誌に載った、ということが、さも凄いこと…

論文コンプレックス!一歩前へ

大学を出たということはイコール卒業論文を書いたということになるはずなのですが、私には長いこと論文コンプレックスがありました。自分が書いたものが果たしてあれで論文といえるものだったのか、まったく自信がなかったからです。 見よう見まねで、こんな…

オープンコースウエアで統計学を学べます

前回紹介した『統計学が最強の学問である』は、統計学リテラシーを養う本でした。統計学をどんなときに使うのか、どういう意味があるのか、あらましを知ることができます。もう少し踏み込んで統計学が使えるようになりたいという場合は、地味な勉強がある程…