最近読んだ本など

だんだん成長する自分をイメージできること

子育て関連の本を読んでいて、強烈に印象に残ったことがありました。 丸山美和子『小学校までにつけておきたい力と学童期への見通し』(2005年、かもがわ出版)にあった、系列化の思考についてです。 系列化の思考というのは、大きい-小さいなどの二極では…

発達障害、これなら納得

ブログ、2010年からやっております。 ブログを始めた当時の私の疑問は、発達障害は生まれか育ちかという問いでした。当時は、自閉症が母原病といわれ、母親が責任を追及されつらい思いをしたことへの配慮から、自閉症スペクトラムは生まれつきの障害ですとい…

感情を受け止める母親のリアリティ

柳美里『ファミリー・シークレット』を読みました。 カウンセラーとの対話を記録し、作者自身の家族と育ちを振り返るとともに現在の自らの子育てまでを描いています。 存在は知っていながら近寄ることができなかった作品ですが、今回手に取ることができたの…

発達障害と愛着障害とメンタルの病の繋がり具合

数年前、私は、発達障害と愛着障害が別個に語られることに居心地の悪さを感じていました。当時、発達障害は生まれたときに決まっている性質のようなもので、愛着障害が育ち方で決まってくる性格のようなものと説明されていたと思います。どうも納得がいかな…

アレキシサイミアと外傷的育ち

前の記事では感情がわかりにくい私がそれに気づき、感情をほどく方法について書いてきました。どうなんでしょう。私は自分がどのくらい特殊な人間であるのかがよくわかりません。でも、広い世界にたった1人でこんな状態でいるとは思いません。よく似た状態に…

でたらめ と へたくそ の違い

でたらめ から へたくそ へ 50代半ばから修士論文に取り組んだ私の支えになった言葉です。『論文作成のためのパソコン入門』(宇多賢治郎、学文社2008年)にあったフレーズですが、ずっと心の中に響き続けていました。 論文作成のためのパソコン入門 作者:宇…

過敏性腸症候群の理解が変わる食事療法

長らく更新が止まっておりました。お久しぶりです。 ここ数か月いろいろなことがあったのですがそのひとつが、過敏性大腸症候群の食事療法です。ストレスが重なっていることは承知のことでしたが、どうも最近それだけじゃなくて、食事を見直すことで状態が変…

ポリヴェーガル理論でさまざまな謎が解ける

ポリヴェーガル理論という名前を私は今回のCDブックで初めて知った、と思ったのですが、よくよく調べてみると、これまで買って持っていた本の中でも引用されていたり紹介されていたりしました。でも、提唱者であるポージェス博士の著書の邦訳は最近出たこ…

トラウマが消える音楽CD

聴くだけでトラウマが消える音楽CDというのを見つけました。にわかに信じがたく、迷いましたが思い切って買ってみました。 心の傷を消す音楽CDブック (聴くだけで不安・心配・悲観がなくなる) 作者: 藤本昌樹, 出版社/メーカー: マキノ出版 発売日: 2018/0…

せん妄は案外身近なことだと知っておくべき

義母(90歳)が脳梗塞で入院したとき、不穏な精神状態になって病院の廊下を歩き回ったり、点滴の針を抜いたりしました。面会時間以外にも家族が交代で付き添って話し相手になり周囲に迷惑がかからないよう随分気を使いました。これを私たち家族は認知症が進…

専門医を探すことから始まる概日リズム障害の治療

日本じゅうにどのくらいいるのでしょうか。概日リズム障害に悩む人。 概日リズム障害とは、睡眠障害の一種で、朝起きて夜眠るという生活リズムに障害が起きる病気です。 私の息子は不登校だった14歳のときから非24時間の睡眠パターンに陥り、目が覚める…

今向き合っているのが世間なのか社会なのかを意識するだけで変わる

「世間」と「社会」を区別して論じている方は演出家の鴻上尚史さんです。『コミュニケイションのレッスン』第2章によると、 世間=あなたと利害・人間関係があるか、将来利害・人間関係が生まれる可能性の高い人たち 社会=今現在、あなたと何の関係もなく、…

かなり健康になってきました。振り返ると。

以前、半健康とは、というような記事を書きました。長い間、身心の不健康な状態を続けており、元気になることは遠い目標でしかなかったのですが、 最近、かなりいい調子です。 朝起きたら、10分ほど屋外を散歩。月に一度はヨガ教室に行く。義母の菜園を手伝…

心理学の歴史を知ると見えてくる愛着理論の真実

ややこしい話が続いて恐縮ですが、わかりにくいけど大事なこともあると思うので書かせてくださいね。 ジョン・ボウルビィの「愛着」理論というのがありますよね。このブログでも愛着障害というカテゴリーを設けていますが、この「愛着」の英語は attachment …

親子の関係性から自閉症スペクトラムの症状が生まれるという仮説(2)

記事のタイトルには発達障害だけに関係するかのように書いていますが、実は少し違います。この本に書かれている仮説は、ASDのみならず、心身症や神経症、人格障害的なもの、解離、統合失調症的な精神疾患の全ての源に、乳児期の養育者との関係の歪み、ほぼイ…

親子の関係性から自閉症スペクトラムの症状が生まれるという仮説(1)

久々に発達障害の話題です。 自閉症スペクトラムの原因についての議論は、私がブログ『雨の日は本を広げて』を書き終えた2013年ごろと比べると研究レベルではかなりの変化がありました。最先端の遺伝子研究の結果を踏まえると、特定の遺伝子が自閉症をつくる…

神仏習合のイメージをつかむことで今の日本人の信仰が見えてくる

明治維新以前の神仏習合というのはどういうものだったのか、イメージをつかむためにこの本を読んでみました。『神も仏も大好きな日本人』(島田裕巳、ちくま新書2011年)この本によると、東京付近では廃仏毀釈運動はあまり強くなく、廃寺となった寺もほとん…

よすがとしての郷土史

ちょうど宮崎に戻る機会があり、伊満福寺を訪れてみました。広大な敷地にたくさんのお堂や塔が建っていたとされ、明治維新期の廃仏毀釈によって破壊されたとされる伊満福寺。跡地のほとんどは宅地開発されたらしく、山頂に近い部分に寺地が残り、すぐそばか…

歴史に気づく衝撃

今までこういう歴史だと思っていたことが実は違っていたことに気づいて衝撃を受けたという経験はありますでしょうか。私は子どもの頃、親に昔は物がなかったとか、貧しかったとか言われて育ったので、日本は太古の昔から少しずつ順序よく豊かになってきたの…

大事なのは劣等感と向き合うこと

最近、真向法(まっこうほう)というボディワークを知りました。開脚や前屈のような骨盤まわりの柔軟体操を数種類組み合わせて毎日行うという非常にシンプルな健康法です。もともと身体が硬くて他の人と同じように出来ず、若い頃にずいぶん恥ずかしい思いを…

産みの親への強い思いはどこから来るのだろう

一つ前の記事で取り上げた『女が女になること』によると、母親が働いているか専業主婦かによって5歳時点での発達の差がみられなかったという研究があり、それが「三歳児神話」を否定する論拠となっているということでした(p.191)。親子関係というのは、働い…

根拠がないというのはまだわかっていないということ

愛着障害という呼び名はそれなりに浸透して、関連本も増えてきているようですが、これに関して、以前から気になっていることがありました。アタッチメント、幼少期に確立される、親と子の情緒的きずな。親がいない場合は代わりの養育者でも構わないけれど、…

外傷的な育ちというくくりで見える本質

なんだかすごい本に出会ってしまった気がしています。『メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服』(崔炯仁、星和書店2016)。 以前からこのブログでは連呼していますが、精神科の診断名は原因で分類されているわけではなくて、状態像の名前です。…

面白くて怖い地政学

お正月から佐藤優『現代の地政学』(晶文社2016)を読みました。 ロシアやヨーロッパで身につけた国際感覚で捉えた近未来の情勢予測が惜しげもなく書かれている本で、その鋭い分析力、根拠となる情報の厚さに圧倒されました。地政学という言葉は最近急激に使…

発達障害と気分障害と複雑性PTSDが同じフィールドで語られる日

お気づきのように、こちらのブログは発達障害をメインテーマとはしていません。 不登校を経験した息子は成人しましたし、彼についての詳細をここに書くことは避けなければならないでしょう。 私についても、自身の診断を気分変調性障害とし、それからの脱却…

複雑性PTSDの記述から見えてくるもの

ひとつ前の記事では大雑把に気分障害と書きましたが、気分障害のすべてが発達障害や複雑性PTSDから起こるということを言っているのではないです。ここでも注意しなければならないのは、気分障害というのも状態像の名前であって、ひとつの原因で起こっている…

発達障害の新たな知見−ダイナミックに変化していく個性として

以前”雨の日は本を広げて”というブログを書いていました。更新終了してからすでに3年以上経っているのですが、ここのブログより一桁多く読まれ続け、先日アクセス総数が40万を超えました。ありがとうございます。嬉しいと同時に、こうやって発信すること…

生きていく知恵としての「トランス」道

前回とりあげた『あなたは、なぜ、つながれないのか: ラポールと身体知』の中からもうひとつ、大事だと思ったことを書きます。 この作者が「トランス」という言葉で言い表している、意識が外と内の両方に向いている状態のことです。トランスというとスピリチ…

繊細さを磨き洗練させるという方向性

書店でふと出会ってしまう本があります。 引き込まれて、数ページ進んでは思いに耽り、読み終わるまで落ち着きませんでした。『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知』(高石宏輔、春秋社2015)読みやすい文体で自分のことを語りながら、人と…

世界の秩序感と健康

アーロン・アントノフスキーという人の考えた健康生成論と首尾一貫感覚(SOC:Sence of Coherence)というのを最近知りました。『健康の謎を解く ストレス対処と健康保持のメカニズム』(有信堂2001)。ストレスがあるから不健康になるという論法ではなく…