「やり」と「とり」

「やりとり」という言葉は、「やり」と「とり」からできています。

英語の give & take というのも近い表現の言葉ですよね。

この言葉は、ただ「やる」ことと「とる」ことを指しているんじゃないです。取った人は、すぐ投げ返す、それを受け取った人は、また返す。

キャッチボールと良く言われますが、キャッチボール以外にもたくさん「やりとり」はあります。

音楽には、コール・アンド・レスポンス というのがあります。いわゆる「掛け合い」ですが、一方が問いをだすと、もう片方が答える。ジャズにもありますが、バッハにもありますし、民謡にも見られます。ピアノを習ったことがある人は、右手と左手がしばしば掛け合いをする場面があることを思い出すかもしれません。

餅つきはどうでしょう。ぺッタンとつくと、すかさずハイヨと裏返す。それを受けて次ぎのペッタン、ハイヨ、と、続いていきます。

ダンスなんかも、リードする方、ついていく方がリズミカルに交代していくんじゃないですか。

格闘技や武道の方がわかりやすいですね。攻めたり守ったりを交互に繰り返しています。これも「やり」と「とり」の一種です。
 
 
私たちは、「やりとり」を感覚として楽しみます。やりとりというのは、無条件に楽しいものなんです。
 
行ったり来たりしているものは、ボールのような物体ではないことに気づきます。そこでできあがる「場」を共有できることそのものが、楽しいのですよね。続けていくうちに、その「場」が練りあがって形をなしてくる感じがあります。

「やりとり」はそれだけで楽しい。全身で味わう、心地よい体験です。