漢方薬にはエビデンスがないと言われる理由

「標準治療」という言葉を検索してみたら、風邪症候群の標準治療についてまとめたページを見つけました。

急性上気道感染症 治療法ガイドライン
http://www.ebm.jp/disease/breath/01jokido/guide.html

これを見て、ああなるほど、と、思い当たることがありました。

私はかなり長い間、ちょっと疲れると扁桃腺が腫れる、のどの奥から白い膿がでてくる、といった症状に悩まされていました。耳鼻科で抗生物質をもらうのですがあまり効いた気がしないんですよね。こんなに飲み続けて大丈夫なんだろうかと心配になってきました。そのうち、先生が妙なことをおっしゃいました「これはね、肩こりみたいなもんなんだよ」

一病息災だと思って、じんわりと症状とつき合ったらいいよ、と、言われたように記憶しています。それからは、痛いなと思っても病院には行っていません。

でも、それならそうで、どうしてしつこいほどに抗生物質がでていたのでしょうか。
「標準治療」では、扁桃腫脹には抗生物質を使うようになっています。これかもしれないと思いました。

私たちが病院に行って症状を訴えるとそれは医師の頭のなかで翻訳され、これこれの症状に対して標準治療をして欲しいと言ったことになってしまっているのかもしれません。


じつは、この症状は、今飲んでいる漢方をはじめてから1ヶ月ほどのあいだにすっかり良くなってしまいました。膿の塊が小さくなって、首の深いところにあった固い部分が気にならなくなり、ボディワークでさまざまな凝りや痛みをほぐしてきた今となれば、肩こりみたいなものという表現の意味も少しは理解できます。

しつこい慢性の症状には、漢方が威力を発揮することは多々あるのだろうと思います。

しかし、これは扁桃腺の症状の「標準治療」に含まれてはいません。


薬をやめれば病気は治る (幻冬舎新書)『薬をやめれば病気は治る』(岡本裕)には、現在の医療のエビデンスの判断が、RCT(ランダム化比較試験)のみで行われており、このやり方では、漢方薬の薬効をうまく判断することができないと書かれていました。漢方薬は複数の生薬の複合的な効果を狙ったものなので、単独の成分の薬効を調べるためのRCTとは相性が悪いということのようです。

漢方薬は効くということを科学的に証明することができないというんですが、この場合、科学的にというより、今の法的な枠内では証明できないということなんだろうと思います。

この本の著者は日本が明治以降、西洋至上の考え方をとったこととの関連を示唆しています(p.95)が、私もそこが問題だろうと思います。西洋のものがなんでもすばらしいと見える偏った視点からそろそろ抜け出して、西洋の良いところ、東洋の良いところを公平に見通せるようにならないといけないのでしょう。それが、法律や制度に反映されるためには、少し時間がかかるのかもしれないです。