論文とは何か、何のためにあるのか。

論文は、本屋さんや街の公共図書館で見かけることはあまりありません。

一般の人の目に触れる場所にはないものです。ときどきニュースで、学者が新しい研究発表をしたという情報が流れますが、そのときは外国の論文雑誌に載った、ということが、さも凄いことのように報告されますから、どうも、雑誌に載るということにステータスがあるらしい、ということはわかります。

でも、それ以上のことは、誰かに教えてもらわないと、わからないですよね。


そもそも、論文とは、何のためにあるのか。論文と論文じゃないものを区別するのは、何か。
どのような論文が良い論文なのか。だいたいどこに行ったら論文を読むことができるのか。

この本には、詳しく書いてありました。感激です。

心理学・社会科学研究のための 調査系論文の読み方『心理学・社会科学研究のための調査系論文の読み方』(浦上昌則・脇田貴文、東京図書2008)。論文を初めて読もうとする人に向けて書かれています。

論文の読み方、ですよ。書き方、じゃなくて。

サンプル論文を解説つきで読みながら、同時に統計解析の手法も学べるようになっています。
実は、放送大学の『心理・教育統計法特論』の勉強のために購入したものです。以前このブログでも紹介した講義ですが、後半は正直いって講義だけではうまく理解できず、この本にかなり頼ることになりました。

もとの話にもどります。
論文とは、何でしょうか。

さまざまな研究が行われていても、その成果を誰も知らなければ意味がありません。研究の成果を世の中に報告し、流通させる手段が論文だということです。論文は、学会が発行する論文雑誌や、大学の学部が発行する紀要に載せられます。論文雑誌に載るためには「査読」を通る必要があり、一定の質を保証された論文だけが採用されることになるわけです。

つまり、私たちは誰でも、論文の読み方と探し方さえわかれば、
世の中でどのような研究が行われ、どのような成果が出ているのか、調べることができるということです。

大学を出ていても、そういうことを知らないのは恥ずかしいことなのかもしれません。
でも、実際、私は知りませんでしたし、知る機会もありませんでした。
研究職でなくても、調べものの必要はあります。これからますますそのような機会は増えていくだろうと思います。

他人の知恵を上手に借りるやりかたのひとつとして、論文を読むということが使えるということだと思います。