自閉症スペクトラムへの素朴な謎に答える本(1)〜5つの謎〜

2013年9月に更新を終了したブログ『雨の日は本をひろげて』のアクセスカウンターが、もうすぐ20万を超える見通しです。

更新終了後も毎日たくさんの方が見に来てくださっていて、ありがたいことです。
(一日あたりの数として、このブログのざっと10倍ぐらいのアクセスがあります)


あのブログは、私が発達障害というものをわかっていて書いたのではなくて、私自身が、発達障害というものがよくわからない、つかめない、ということを出発点として、乱読多読して何かを得ようという試みでした。

読んでも読んでも、謎は深まるばかり。結局、まだ、解明されていないんだ、ということがわかった、という状態で終わっています。

 
あのころ私が抱いた謎に正面から切り込んだとても興味深い本を見つけました。数回に分けてゆっくり読みたいと思います。


自閉症という謎に迫る 研究最前線報告 (小学館新書)自閉症という謎に迫る 研究最前線報告』(金沢大学子どものこころの発達研究センター、小学館新書2013)新書サイズで薄い本ですが、内容は濃く、かつ、素人向けに初歩的なことからきちんと解説してあります。

ここでいう自閉症とは自閉症スペクトラムのことです。かつては広汎性発達障害といわれ、一般的には発達障害と呼ばれました。ADHDのことを発達障害という文脈もあるにはあるのですが、私のブログでは主に自閉症スペクトラムを中心に論じてきました。この本も自閉症スペクトラムについて書かれています。

自閉症には5つの謎がある、とこの本には書かれています。

1.自閉症の徴候は誰にでも多少はあるものなのに、なぜ障害とみなされるのか
2.なぜ、二大徴候が同じ人の中で同時に出現するのか
3.発現率が急増して社会問題化してきたのはなぜか
4.遺伝か環境か、それとも両方か
5.自閉症はそもそも治癒させる必要があるのか?それはヒトが本来もっている遺伝的な資質の多様性の表現なのではないだろうか?(pp.13-17より)

これらの謎は超難解で、諸研究に基づく課題を提示することしかできないと書いてあります。

なんて率直な物言い。スカッとします。
どれだけ上手に書いてあっても、自閉症とは何なのか、やっぱり誰にもちゃんと説明できないものなのでしょう。

それを確認した上で、現状わかっていることとわからないことを整理してみるのがこの本の狙いで、素人にもごまかさずに伝えようとしていることが素晴らしいと思いました。

この本の内容について次回以降で少し書いてみようと思います。