本当の学び方を取り戻す

ところで、数ヶ月前から塾講師をしています。

アルバイトを始めたのにはいろいろ理由はありますが、なぜ塾講師を選んだのかという理由の一つは、塾というところを知っておきたかったということがあります。
私は学習塾に行かずに大学に入り卒業してしまったし、息子も学習塾には縁がありませんでした。
このことが間接的に息子を不登校に追いやった一因になっていないかと考えることもありました。

今働いているところが全てではないとしても、学習塾とはどういう場所なのか、少しわかってきたように思います。今の日本の教育システムの中にかなりがっちりと組み込まれているらしいことも見えてきました。
自分の子どもの頃とでは、学校が家庭学習に期待するものが違っていたのかもしれないです。私が学校にないものねだりをしたことで、子どもに要らぬ負担をかけたということはあるだろうと思います。

私が小・中学校時代をすごしたのは、1970年代です。
小学校5年生と6年生の宿題は毎日、自由に大学ノートを5ページ埋めてくるというもので、自分で問題を作って解いたり、作文を書いたりという楽しい時間を過ごしました。中学ではテスト勉強は自分で教科書の内容をノートにまとめ、自分で問題を作って解き、友達どうしで問題を出し合ったりして勉強したものでした。

40年たって、子どもの学習環境は良くなったのでしょうか。

ごまかし勉強〈上〉学力低下を助長するシステムごまかし勉強〈下〉ほんものの学力を求めて『ごまかし勉強 学力低下を助長するシステム』(藤澤伸介、新曜社2002)という本を読みました。ちょうどこの40年ほどで子どもの学習を取り巻く状況がどう変わってきたのかをきちんとまとめてありました。
結論からいうと、子どもたちが楽しくしっかりと学ぶことができない嫌なシステムが出来上がっていて、今の子どもたちはあまり幸せな学習環境にはないのですが、だんだん悪くなっていくのを誰も止められなかったのだろうかと思います。

うちの子だけじゃなくて、かなり多くの子どもたちが、学校で勉強することへのモチベーションを持てなくなっていたということなのかもしれないです。

不登校の原因には家庭の問題や個人の資質の問題もあります。でも、そのような問題を抱えてもなお、学校に魅力があれば不登校という形には表れないものだろうと思います。学校が、というよりも、学習塾を含めた子どもの学びのシステムが今どうなっているのか、きちんと把握するために、この本はとても役に立つと思いました。

次回にもう少し詳しく書きたいと思います。