逆転移を学んで少しだけ落ち着きました

このところ感情に振り回されています。

私は以前、失感情症(アレキシサイミア)ぎみだった、と自分では分析しています。
特に、悔しいとか、失礼とか、そういう自尊感情を傷つけられたときの気持ちがわからない人だったと思います。なのに、最近はそういう種類の激しい感情に振り回されています。

ひどい怒りの感情が出てきて、そのまま体調が崩れてしまうこともあるのですが、その際自分でもおかしいなと思うことがありました。今の相手のことを怒っているのに、以前の別な嫌な相手とのことが思い起こされたり、今の相手は特に悪くないのに、その人の声を聞くとわけのわからない恐怖に襲われてその人とうまく話せなかったりしたんですよね。

これは、いわゆる転移とか逆転移というもののことを指しているんじゃないかと、あたりをつけました。それなら、積ん読の本の山の中に、この本が。
ころんで学ぶ心理療法―初心者のための逆転移入門『ころんで学ぶ心理療法 初心者のための逆転移入門』(遠藤裕乃、日本評論社2003年)セラピストとしてクライエントと向き合うなかで起こる、セラピスト自身の感情の揺れについて書いたものです。セラピストの基礎的な勉強が不足していて読み取れていないところもあると思いますが、それなりに得るものがありました。

この本で扱われていたセラピストが出会う感情の揺れは次のようなものでした。
1.投影同一化 自分の心の中で起こっている感情や思考を他人のせいにする
2.融和型逆転移 相手の感情をそのまま自分の感情として体験するいわゆる「共感」
3.補足型逆転移 相手の気持ちの一部を代弁した感情を体験する
4.間接的逆転移 相手以外の人を意識して相手への接し方が変わる 周囲に認められたいなど
難しい言葉ですが、どれも私たちが日常的に感じているものだろうと思います。
ただ、私たちはそれを分析することができず、起こってきた感情を気持ちいいとか気持ち悪いとか感じ、不快な感情が起こったとき、その相手を嫌ったり避けたりしているのだろうと思います。

この本はセラピストの初心者向けに書かれていて、数種類の心理面接の場面を再現しそれらを分析的に解説することで自分の感情の由来が分析できるようになることを目指しています。そうやってはじめてプロとしてさまざまなクライエントに接していけるのだろうと思います。

振り返って私のことを考えたら、私はこれまで不快な感情をうまく感じることができませんでした。抑え込んできてしまったのだろうと思います。だから、今、出てきたものを上手くコントロールできなくなっていて困っていますが、分析することは可能だと思います。まず自分の中で起きていることを知るために、逆転移について知っておくことが役に立ちます。

これまで数年かけて放送大学大学院で心理の勉強を続けてきたし、心理学検定1級もとったし、地域で傾聴ボランティアもしているし、塾講師としてもまあまあやれていると思うし、他人の話を聞いて何か役に立てる人間になれるかなと思っていましたが、まだまだ道は遠いと感じました。でも、この「自信のなさ」は、根拠のないものではなく、何をすればよいかという道を示してくれる類のものです。

恐怖や怒りやあせりや、さまざまな嫌な気持ちのことをこの本では陰性感情と表現されていましたが、陰性感情がそのまま体調の悪さに結びついているのがこれまでの私でした。それならば、陰性感情の由来を分析できるようになることで体調もコントロールできるようになるかもしれないです。

ちょっと落ち着きました。