グラウンディングと抑うつの関係

『うつと身体 <からだ>の声を聴け』(アレクサンダー・ローエン、2009春秋社)この本を読んだのは2ヶ月ほど前だったのですが、改めて開いてみると、このことばがぐっと近づいてくる感じがありました。

  グラウンディング = 大地に根付く 

声楽のレッスンでも、足から根っこが生えたようにどっしりと構えなさいといわれていましたし、ロルフィングでも、お試しセッションのときから、終わったとたんに足が地面に吸い付くような感覚を覚えていました。身体の重さがしっかりと地面に降りていく感覚は、今の私にとってとても重要なものだということが直観的にわかります。

グラウンディング grounding について、アレクサンダー・ローエンは、単に感覚的なもの、心理学的な比喩ではなくて、物理的な根拠を持ったものだと主張しています。「生きた有機体のエネルギー」が上半身から取り入れられ下半身から放出される、蓄積と放出(チャージとディスチャージ)のバランスを取るための働きだというのです(p.57)。
そしてこの働きが阻害されたことにより抑うつが起こると説明しています。その原因を、未熟なままで母親から引き離され、無意識の恐怖をかかえたまま成長してしまったことに求めています。

その恐怖とは、安んじて身を預けられる大地がどこにもなく、力を抜くと抱きかかえてくれる人や、支えてくれる人が全くないという恐怖である(p.48)

ローエンが提唱するバイオエナジェティクスの治療的ワークでは、恐怖で固まっていた身体に働きかけ筋緊張をほぐして、患者は大地とのつながりを取り戻していくのだといいます。大地に根付き、真の意味で自立した人間は、深くて親密な人間関係を持つことができるとも言っています。孤立する不安を抱えた人間ほど、いつまでも孤独のままなのです。

母子関係だけに原因を求めたのではどこからかクレームがつくだろうと思いつつ、私にとっては思い当たることばかりでした。私の中にずっと住んでいた母親に甘えたい小さな子どもが、今日もまだ切ない思いを抱えて佇んでいるのを感じます。でも、今はどうすればいいのかわかります。

ここから卒業すればいいのです。

失われた内臓の感覚を取り戻し、下半身を大地に根付かせるグラウンディングのためのエクササイズがこの本に紹介されています。
大人になりたいと思うし、なれる方法がわかったように思いました。

うつと身体 〈からだ〉の声を聴け