感染症と免疫わかっていることわからないこと

免疫について勉強してみました。

新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで (ブルーバックス)新しい自然免疫学 ?免疫システムの真の主役 (知りたい!サイエンス)『あたらしい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで』(審良静男・黒崎知博、講談社ブルーバックス2014年)『新しい自然免疫学 免疫システムの真の主役』(坂野上淳、技術評論社2010)高校時代、生物は好きな科目でしたがそれ以上勉強する機会は今までありませんでした。気がつけば、高校を出てから35年ほど経っています。

免疫についてこの20年ほどでわかってきたことがたくさんあるようで、その知見を踏まえながら、素人にもわかりやすいように順序良く根気良く説明してありました。わかりやすいです。
1990年ごろまで主役とされ、私が高校時代に生物の授業で習った抗原抗体反応は獲得免疫といわれています。その後、自然免疫のしくみが次々と解明され、より複雑で精緻な免疫のしくみがわかってきた、ということでした。

しかしまだわかっていないことがある、と続きます。

腸管免疫というジャンルがあり、解明されていないことが多いのだそうです。
おもに小腸の内側にびっしり生えている絨毛(じゅうもう)の表面近くには免疫細胞が多数あり、腸管から入ってくる異物をより分けてコントロールしているらしいのですが、そのしくみにはまだわからないことが多い。
ホルモン系や神経系とのかかわり、腸内細菌のはたらきとのかかわりなどを含めて解明しなければならないと締めくくられていました。

免疫についてこれだけのことがわかってきてもなお、今わかっているのは、全体像の一部でしかないかもしれないです。
ただ言えることは、わからなくても説明できなくても、私たちの身体は厳然と異物を取り入れて栄養としたり、毒物として排除したりを繰り返しているという事実です。

勉強しながら思い出したのは、以前発達障害や脳の発達について勉強したときのことでした。
素人はつい、専門家なら全てのことを解明しつくし説明しつくすことができると考えがちですが、その時代に提示されている学説は数年で変わっていくし全く覆されることもあるわけです。ああ、まだわかっていないことだらけなんだ、と、腑に落ちたとき、治るのか治らないのかという議論は不毛だと気がついた覚えがあります。

よく「今の医学では治らないとされる病気が治った、奇跡だ」というような言い方がされることがありますが、
病気が治るしくみというものの真の全体像があったとして、その一部しか人間はまだ知らないだけのことなのだろうと思います。


腸といえば、決断力や深層の記憶など、心の働きにも関係するものととしてこのブログでも取り上げてきました。
免疫、神経、ホルモンが相互に関わっているとすれば、その場所が腸なのだとすれば、非常に興味深いですね。