発達障害の理解を通して人間のことや科学のことがわかってきた

私の以前のブログ「雨の日は本を広げて」をはてなブログに引越しました。と同時に、限定公開にさせていただいています。

このブログは、「発達障害」をより理解したいということで、さまざまな本を紹介する形を取っていました。「発達障害バブル」ともいわれていた時代、しろうとの私たちのみならず、教育や福祉や医療やさまざまの現場でも混乱がありました。私が感じた素朴な疑問もそのままブログの記事にしてきたし、率直な考えを述べてきたと思います。今となっては古臭いものもありますが、過去ログとして参照したい方はキーワードを入力して読んでいただければと思います。このブログの読者の方にはわかりやすいキーワードになっています。

専門に深く勉強したことのない人間が医学や発達学などの知識を得ようとしても、もとになる基礎知識が不足しているためにおかしな誤解をしてしまうこともあります。科学の常識も新しい発見で変化しているし、それが一般にいきわたるまでにタイムラグもあります。

あのブログで私が見つけたことはたとえばこういうことでした。

・脳は機械のように変化しないものではなく、さまざまな経験によって一生を通じて作り変わっていくものだということ。

・脳が変化するという考え方は比較的最近分かってきたことであること。

・遺伝子も経験によって変わって行くと最近は考えられていること。

・よって、脳の機能障害があるからといって、生まれつきであるとか、一生変わらないということは言えないということ。

・発達障害である人とそうではない人は男性と女性のように全く別のグループとして分かれているのではなく、連続していること。どちらともいえない真ん中辺りの人がたくさんいること。

・発達障害とは何か、ということが実はまだよくわかっていない。いろいろ研究してあたらしい説が発表されたり議論されたりしている段階である。

・人間の発達のことや、人とのコミュニケーションに関することなども、わからないことだらけであり、数年の単位でどんどん新しい研究成果が出てきているということ。

日本では発達障害は脳の障害と決め付るような理解も流布しているし、法律もできてしまいました。この法律で救われている人もいるかもしれないので簡単に批判はできませんが、なんだかポイントがずれているというのが本当のところだと私は思います。

教科書に書いてあることを覚えてテストに答えるというような勉強のしかたをずっとしてきた私たちにとって、まだわからないという事実を受け入れ、その不確実さに耐えることは難しいことなのかもしれません。また、右か左か、赤か白かという選択ではなく、連続しているものの全体像を思い浮かべて理解するというものあまりやってこなかったことかもしれません。

そういう意味では、私はあのブログを書くことで、思考のしかたの訓練をしてきたのかもしれないと思います。

発達障害についての議論はどんどん変化してきました。これから新しい本なども紹介していきたいと思っています。人間とはなにか、科学とは何かというような視点も提供してくれるのが発達障害というジャンルだと思っています。