逃げないということが一番大事なことなんだ

先日、テニスを始めたことを書きました。正確に言うと、テニスボールを使った体力づくりを始めました。ゲームができるのは、ずっと先。というか、できないで終わってしまうかもしれないと思っています。

それでもやろうと思ったのは、もしかしたら、今なら、ボール運動へのコンプレックスに向き合えるのではないか、と、思ったからです。ドッジボールが嫌でボールを怖がり、ずっと逃げてきた自分、というのが、人生のいろんな場面で、怖いものや嫌な事柄を避け、怖い、とか嫌、とかいう感情から逃げてきた自分に重なっています。テニスボールに向き合うということが、感情に向き合うということの象徴として見えています。

近くの河川敷の原っぱに、テニスボールを1個ポケットに入れて出かけては、ひとりで投げては取る練習をしたり、ラケットで羽根つきのようなことをやったりしています。見る人から見たらとっても変なことをやっているように見えると思いますが、リハビリをやっていると思ってもらったらいいと割り切っています。まずは、目の動きがボールについていくこと。次に、体幹が整って身体全体のバランスが取れること。

時々、夫に手伝ってもらって、テニスボールで素手のキャッチボールにつきあってもらったり、素振りを教えてもらったりしています。コートでの練習は今のところ月1回ですが、原っぱは週3~4回、天気が良ければ散歩を兼ねて出て行っています。

上手い人なら半日でマスターするようなことかもしれないけれど、小さなステップにわければ確実に上達していることがわかるし、練習してできるようになる感覚はピアノの練習と何も変わらないんだな、と感得してからは気が楽になりました(ピアノは3歳から高校生までやっていました)。コンプレックスで止めることさえしなければ、その人なりに伸びていくことができるものなのだ、逃げないということが一番大事なことなんだ、と、言ってみればどこかで聞いたフレーズなのですが、聞いて知っていてもやってみることはそんなに簡単ではありませんでした。

怖さ、寂しさ、怒り、悲しみ。逃げて閉じ込めていた感情と向き合い、その中に身を置いて味わい尽くすことを意識的に重ねてきたからこその今があります。ボール運動がものすごく下手だというのは変わらないし、ずっと下手なままだろうとも思いますが、工夫しながら自分なりに上達していくことを楽しみにしていこうと思っています。そういう楽しみ方もあると思うのです。テニスのことはこれからもときどき書いていこうと思います。