ふたりの母と戦争

私の実母は昭和10年代の後半に生まれています。終戦の年は昭和20年(1945年)ですが、このとき母は幼児でした。親戚の家の離れに疎開していたと聞いています。米軍の戦闘機に機関砲で攻撃されてしまうという経験をしていて、母自身は覚えていないようですが、親族からはその話を聞いています。

終戦のあと、日本は5年あまりアメリカ軍の占領下にありました(正確には1952年4月まで)。その頃母はまだ小学生だった計算になります。

母はそんな時代に「役割取得」を学んだのだなと思うと、不思議な気持ちになります。ここのところ、自分の母親との関係についてつらつら考えてきたのですが、やっぱり私の母はちょっと人と違う困難さを持っているのかもしれないと思い始めています。

(・・・こういうことも書くから、ずっとペンネームでやらせていただいています)

夫と結婚し今の家族と過ごして30年以上が過ぎました。夫の両親とはずっと同居です。義母と実母の違いに戸惑い、最初は義母がヘンだと思いましたが、だんだんと逆だと考えるようになり、自分や実母を恥ずかしいと思い続けてきたように感じています。

義母は昭和ひと桁生まれ。終戦の年には女学校を繰り上げ卒業し、軍需工場で働いていました。戦時中に父親と弟を肺炎で亡くしています。兄たちは戦地へ行き、家が空襲で焼け疎開先に落ち着いたこと、いろいろ話は聞いていますが、小学校時代はまだまだ平和で豊かな時代だったはずです。

改めて今思い起こすと、私も実母に似て人の気持ちがわからなかったり、人との繋がり方が不器用だったりするので、義母はかなりイライラしたんだろうと思います。夫が出勤している平日はほとんど義母と一緒でしたから、夫よりもずっと義母と過ごした時間の方が長かったし、いろいろ影響も受けました。義母は何でもできて、私はついていくのが辛かったように思います。

辛かったけれど、義母との30年があったから、今の私があるともいえます。

外国の戦地のニュースが毎日入ってくる日々なので、母たちが体験した昔の戦争のこともなんだか生々しく感じてしまい、こんな記事になりました。