からだとつき合う

感情を味わうことで味覚も変わっていく

自分の気持ちを”感じる”と書いたり、”拾う”と書いたりしていますが、ときに”味わう”という表現を使ったこともあるかと思います。とくに、苦しさや恐怖感、辛さ、悲しさといったネガティブで避けて通りたくなるような感情を、逃げないで、受け止めて、しっか…

網膜剥離をしてわかった眼の役割

裂孔性網膜剥離で手術を受け、しばらくパソコンに触れませんでした。スマホは片眼でもメールの確認ぐらいできるのですが、パソコンは両目必要だということを実感。 10日ほど入院と聞いていたので、退院したらすぐ普通の生活に戻れると簡単に考えていたのです…

眼球を左右にゆっくり動かすだけの眼精疲労対策

前の記事を書いた頃、ふと気が付くと、 いや本当にふと、あれ、そういえば、という感じで気が付きました。 体じゅうがんがんに凝り固まっていてどうしようもなく痛い状態になっていました。こんな風になるまでそこに意識がいっていないというのが、私のおか…

発達性トラウマで説明できるストレス性の病

以前紹介したポリヴェーガル理論に関して、『レジリエンスを育む』(キャシー・L・ケイン/ステファン・J・テレール、花丘ちぐさ・浅井咲子(訳)、岩崎学術出版社2019年)を読みました。 レジリエンスを育む―ポリヴェーガル理論による発達性トラウマの治癒 …

逃げないということが一番大事なことなんだ

先日、テニスを始めたことを書きました。正確に言うと、テニスボールを使った体力づくりを始めました。ゲームができるのは、ずっと先。というか、できないで終わってしまうかもしれないと思っています。 それでもやろうと思ったのは、もしかしたら、今なら、…

50代後半、ボール運動に取り組む

心身症的な状態が長いこと続き、疲れやすさや集中力のなさなどから運動とは縁遠い日々を過ごしてきましたが、このままではかなりヤバいと思うようになってきました。ヨガを始めて少し腰の周りなどは安定してきたものの、転んだりぶつけたりすることが増えて…

自分を守るための好き嫌い

2年ぐらい前に、過敏性腸症候群の食事療法の話を書いたのですが、ずっと続けています。何を食べたら腸がどんな調子になるのか、わかってきました。 私の祖母は99歳まで生きたのですが、結構好き嫌いがあって周囲は苦労した覚えがあります。あれは我儘だった…

責任を取る覚悟

認定心理士の認定が下り、IDカードが送られてきました。 巷では、役に立たない資格とも言われているようですが、私にとっては意味があります。なんだろう、人間としての尊厳を取り戻したような、そんな感覚です。 いつの間にか、自分というものに自信を失っ…

過敏性腸症候群の理解が変わる食事療法

長らく更新が止まっておりました。お久しぶりです。 ここ数か月いろいろなことがあったのですがそのひとつが、過敏性大腸症候群の食事療法です。ストレスが重なっていることは承知のことでしたが、どうも最近それだけじゃなくて、食事を見直すことで状態が変…

ポリヴェーガル理論でさまざまな謎が解ける

ポリヴェーガル理論という名前を私は今回のCDブックで初めて知った、と思ったのですが、よくよく調べてみると、これまで買って持っていた本の中でも引用されていたり紹介されていたりしました。でも、提唱者であるポージェス博士の著書の邦訳は最近出たこ…

その感覚はよくあることなのか心配ないのかを教えてほしい

「脳からどろり」の感覚について以前書いたのですが、似た感覚をお持ちの方からコメントいただきました。 「脳からどろり」というのは、脳から副鼻腔に向かって鼻水のような粘液状のものがゆっくり流れ落ちてくるような感覚です。脳の中がその粘液で淀んでい…

臓器の不具合と考えるか、調節の不具合と考えるか

先日、発作性上室頻脈 という診断が下りました。やっと、です。 聞きなれない診断名かも知れないですが、不整脈の一種です。何年も前からときどき急に脈が速くなるのに気がついていましたが、病院で心電図をとってもそのときは出てこないのでなんとも言えず…

セルフケアはこころを含めた自分を大事にすること

暑さの厳しい今年の夏ですが、足首だけはいやに冷えています。今年の暑さのせいなのか、今年になって自分の身体が変わったのか、それとも、今年は敏感に感じるのか、区別がつかないのですが、ずーんと冷えるのが気になります。 前回に引き続き、本じゃないも…

朝と、足首と、セロトニン?

調子が良くなってきた、と、書いてみて思うのは、これを、調子が悪い人が見ると、逆に落ち込んでしまうんだろうな、ということです。 調子が悪いときは、どうやってそこから抜け出すかが見えなくて苦しいですよね。私も苦しかったから、わかります。 でも、…

迷いと寂しさが閉じ込められていた

意識したら間違いなく身体は反応します。記事に書いたことで強く意識されたようでその晩からずずずっと骨盤まわり、股関節周りが緩んできました。以前いちどロルフィングで筋膜リリースしている関係かもしれません。とても反応が早かったように思います。そ…

大事なのは劣等感と向き合うこと

最近、真向法(まっこうほう)というボディワークを知りました。開脚や前屈のような骨盤まわりの柔軟体操を数種類組み合わせて毎日行うという非常にシンプルな健康法です。もともと身体が硬くて他の人と同じように出来ず、若い頃にずいぶん恥ずかしい思いを…

医師にはなんともできないけれど自分ならできること

これも最近わかったことです。長年持ち続けていた卵巣チョコレートのう腫が、消えました。MRIで見る限り、正常な卵巣です。と、いうことです。不思議なのは、3ヶ月ほど前のエコーは、都合3人の婦人科医が目を通しているのですが、そのときは3人とも、確か…

こころと身体を一体として考えるきっかけとしての橋本病

先日、「橋本病」と診断されました。正確には、潜在性甲状腺機能低下症という位置づけで、甲状腺の働きが少し鈍っておりそれを刺激するホルモンが過剰ぎみ。自分の甲状腺に反応してしまう自己免疫抗体ができて甲状腺が炎症を起こしキメが荒くなっているとい…

ヨーロッパ思想の「心身二元論」への誤解を解く

このところ「半健康」「不定愁訴」「慢性疼痛」「慢性疲労」などに関することをいろいろ調べていて、ひと月ほどでかなりいろんなことがわかってきました。ひとつ重大なことは、この病への理解が、いわゆる「心身二元論」の議論に引っかかってくるということ…

休むという処方箋

ところで。何日かしっかり休むことさえできたら治すことができる病気って多いんじゃないでしょうか。休む。気兼ねなく休む。 安心して、安全な場所で休む。さまざまな事情で休むことができない状況にあって、からだの不調を来たし、周囲に気を使いながらどう…

半健康の経済効果

先日取り上げた『不定愁訴の診断と治療 よりよい臨床のための新しい指針』(Francis Creed他)は、欧州での研究成果がたくさん掲載されていたのですが、その中で医療費や社会的損失との関わりも論じられていました。このことについて訳者の太田大介(聖路加国…

不定愁訴を医学的に説明する

このところ連続して、苦しい症状が長期間続くのに身体を調べても悪いとことがほどんど見つからない病気について書いています。 一つ前に紹介した本のタイトルに出てきた「不定愁訴」という言葉ですが、字義どおりに解釈すると、いろいろグズグズ言う、という…

心身二元論の落とし穴(2)

身体じゅう調べてもたいして悪いところが見つからないのに、それに比べて症状が大げさな患者をひとまとめにしてFSS(機能性身体症候群)、ということだと、良く似た病気がありました。 身体表現性障害からだに現れるこころの病気。精神科で扱う疾患の名前…

心身二元論の落とし穴(1)

一つ前の記事で半健康について研究したいと書き、宣言したからにはと勢いをつけて論文検索をやってみました。以前よりスムーズにいくつかの論文にアクセスすることができ、わりとすぐにこのキーワードにたどりつきました。 機能性身体症候群 Functional Soma…

感染症と免疫わかっていることわからないこと

免疫について勉強してみました。『あたらしい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで』(審良静男・黒崎知博、講談社ブルーバックス2014年)『新しい自然免疫学 免疫システムの真の主役』(坂野上淳、技術評論社2010)高校時代、生物は好きな科目でしたがそれ以…

セルフケアとしてのロルフィング

すっかり病人の生活になっています。 数ヶ月前はオペラの練習や塾講師のアルバイトで大忙しだったのが、まるで遠い昔のような気がします。感染症といっても、何か身体の深いところ、おそらく脳や神経系の部分に何か異変が起こったような気がしています。医師…

健康になるために病気になるということもある?

またまた長い間更新できませんでした。 感染症にかかり8週間。まだ本調子ではありません。でも、熱が出て1週間目ぐらいに気がついたのは、身体のこわばり感や筋肉の突っ張り感などの不快な症状が消えていることでした。 感染症は、身体の異物を外に出すよい…

身体と向き合うことのチカラ

気がつけば2ヶ月ぐらい更新できずにいたようです。 オペラの公演が終わりました。最後の3週間ぐらいは、ランナーズ・ハイというような状態にあったのかなと思います。現実に戻ってくるのに多少手続きを必要としました。 以前とは違った私になったと思いま…

エネルギーの流れが堰きとめられて抑うつになる

抑うつというのは、失望や落胆とか深い悲しみとか絶望感というのとは全く別のものです。 よく間違えられるし、抑うつに陥っている本人も区別できていないかもしれません。アレキサンダー・ローエンは、抑うつについてこのような表現を使っています。 「世界…

グラウンディングと抑うつの関係

『うつと身体 の声を聴け』(アレクサンダー・ローエン、2009春秋社)この本を読んだのは2ヶ月ほど前だったのですが、改めて開いてみると、このことばがぐっと近づいてくる感じがありました。 グラウンディング = 大地に根付く 声楽のレッスンでも、足から…