不定愁訴を医学的に説明する

このところ連続して、苦しい症状が長期間続くのに身体を調べても悪いとことがほどんど見つからない病気について書いています。
一つ前に紹介した本のタイトルに出てきた「不定愁訴」という言葉ですが、字義どおりに解釈すると、いろいろグズグズ言う、ということで、これも医者から目線のネーミングだなと思います。

今回調べていて驚いたのが、この「不定愁訴」という言葉に対応している英語が次のようになっていたことでした。

  Medically Unexplained Symptoms

直訳すると、医学的に説明できない症状群 ということになります。
つまり わからない ということなんだ。。。

関西弁でいうと「なんやあほらし」に近かったです。
器質的になんの組織変化も見られないが、ストレスなどのメンタルなものからの反応と考えられる痛み、だるさ、痒み、頑固な筋肉の硬直、胃腸の具合の悪さ、免疫の低下や過敏性、それらが慢性化して泥沼から出られなくなること、それらについて、

もうすこし、ちゃんと、医学的な見地から、こうこういう理屈でそういうことが起こるという理論づけがあるものだと思っていました。

自律神経のこととか、ホルモンのこととか、私たちだって高校の生物の授業レベルで習っています。その辺の知識をしっかり勉強されている医師には身体の機能的なことについてトータルなイメージがあって、ここがこうなってこういう症状がでてくるんだろうな、という推測ができるものだとばかり思っていました。
だからこそ医師に診せると何かわかると期待して病院に通ったのに、長い間もしかしたら「わからないことを言う面倒くさい患者」としか思われていなかったかもしれないと思うと、ぞっとします。時間かけてお金払って何してたんだろう・・
効かないのに、抗生物質とか、痛み止めとかもらって、身体を無駄に傷めていたかもしれないです。
薬が欲しかったわけじゃなくて、説明が欲しかった。たとえ治らなくても、自分の身体に起こっていることを解釈しわかってくれる人がいることで安心できると思った。そのために医師に症状を訴えていたのに、説明できないと判断されていたとは、がっかりです。

心身相関医学の最新知識いろいろ新しい本を取り寄せています『心身相関医学の最新知識』(久保木富房ほか編、日本評論社2012年)こころと身体のかかわりについての新しい研究成果が発表された学術研究会の報告でした。少なくともこの本の中では、不定愁訴を持つ患者の中で何が起こっているかの解釈と説明が行われようとしています。
でも、私が想像したような「トータルなイメージ」には程遠い研究過程のようです。さまざまな仮説を立て、そのモデルに従って実験を重ねデータを積み上げている段階という印象でした。そして、このような研究をしている人たちは、医師の中でもまだまだ少数派ではないかと思われます。

何らかの症状があって、それを医師に訴えても、どこにも身体には異常がないといわれ、ストレスだろうと言われて家に帰る、そういう症状についての研究が少しずつ進んでいるというのは確かのようです。今後の研究の進展に期待するというとで、患者としては、あまり今の医学に期待しすぎないことも大事のように思いました。

こころと身体が連関しあっていることは、医学的にうまく言葉で説明がつかないとしても、経験的にはよくわかっていることです。
痛みや痒み、だるさといった主観的な症状は、他人である医師には伝えきることはできないものです。
上手に自分自身をコントロールする自律性が大事で、ある意味「甘え」を捨てちょっと大人になる覚悟をすることが必要なのかもしれません。


参考サイト:一般社団法人 日本心身医学会 コラム「一般の皆さまへ」
  http://www.shinshin-igaku.com/everyone/column_04.html