精神の病を経験した者として発信していくことの意義

私が精神科クリニックに通っていた時期は、ちょうどうつ病のキャンペーンがテレビで流れ、新世代の抗うつ剤が夢の薬のように言われていた頃と重なります。しかし2010年を過ぎたころから、抗うつ薬について、その効果そのものを疑うという書かれ方をしたものをよく見るようになりました。

読んでやめる精神の薬『読んでやめる精神の薬』(浜六郎、金曜日2014)では、抗うつ薬ではおもにパキシルが起こす攻撃性についてかかれていました。とくに子どもにおいて、効いたという結果はなく弊害だけがあると結論づけられています。

心の病の「流行」と精神科治療薬の真実『こころの病の「流行」と精神科治療薬の真実』(ロバート・ウィタカー、福村出版2012)では、長期に抗うつ薬を投与された患者と薬を使わなかった患者では、薬を使った方が治りが悪かったという話がでてきます。

飲んでいた人間としては後味の悪い話です。過ぎてしまった人生の時間は戻ってきません。

今でも、抗うつ剤はたくさん使われているのだろうと思います。健康保険で診療を行っている医師にとって、それ以外の治療の選択肢はそう多くはありません。

薬を使わずにこころの健康を取り戻す方法を見つけなければいけないのだろうと思います。
そうすれば、
 2.この薬を使ってもいいけど、つかわなくても済むとき
の幅が広がるし、
 3.この薬が、端的に要らないとき
も、増えていくのだろうと思います。

私は薬物治療と並行してカウンセリングを受け、その後、減薬という順序で薬をやめましたが、やめた時点で元気になっていたかというとそういうことはなくて、こころが萎え、集中力が続かず、そのまま社会に出て通用するような状態ではありませんでした。
幸い私は専業主婦という立場で、ゆっくり時間を使うことができましたから、自分なりに考えてリハビリに取り組んできました。こうやってブログを書いているのも、通信制の大学で勉強しているのもその一環ですし、ボディワークもいろいろ試しています。

もっとタイトな条件で社会復帰しなければならない人たちの方が多いのだろうとは思いますが、私なりにどうやって自分が元気を取り戻してきたのか、また、これからどのように変わっていくのかを、発信していくことが大事なのかなと思います。

薬の必要な時期は今よりずっと少なくていいはずだし、薬の要らない人ももっとたくさんいるはずなのですが、それに代わる方法が見えていないのだろうと思うのです。地道に自分を育てていく方法を探していくというのが、このブログのテーマでもあります。