作業をするときの歌について

声のワークに絡めて、思い出したことがあります。

私の祖母は95歳、大正7年の生まれですが、私は子どものとき、この祖母から面白い歌を習っています。
編み物をするとき、毛糸がもつれて絡まったときに、ほどくときの作業歌です。

いそがしや いそがしや
糸屋の椅子に腰掛けて
いそがしながらも 糸をとく
いそがしや いそがしや(以下 同じように続く)

糸が絡まると作業が中断するのでイライラするのですが、興奮するとますます糸が絡まってうまくほどけないのだと祖母は言っていました。歌を歌って気持ちを落ち着かせ、冷静に順序よく糸をほどくと、結果的には早く解ける。この歌はそのような知恵なのだと教えてもらったと記憶しています。

歌を歌うと、気持ちをコントロールすることができるんですよね。
そして、数人で作業を行う場合、気持ちを合わせていくこともできます。


作業をするときに歌う歌は、船に乗る人たちの歌、農作業の歌などあちこちに残っているし、西洋でもきいたことがあるように思います。

私たちはもう、あまり歌を歌いながら作業をすることはありません。仕事中に歌を歌うという行為はどちらかというと不謹慎という受け取られ方をするようにも思います。

でも、ある種の作業は、歌を歌いながら進めたほうが、実は効率がよく、精神衛生上も良いものなのかもしれません。

声を出すことの効用を見直してみるというのも面白いように思います。