ほぐれる、ゆるむ、の経験則

ほぐれる、ゆるむ、といえば、この本を最近読みました。

「ゆるめる」身体学『「ゆるめる」身体学』(高岡英夫、静山社)。高岡氏は、「ゆる体操」を考案し、指導者を育成して広める活動をしておられる方です。

ゆる体操」の概要が巻末に図解して載っていましたが、これは基本的には、身体をゆすったり、くねらせたりする体操です。からだ全体をほぐしたり、ゆるめたりすることを自律的に行い、自分のコンディションを整えることができることを目指したもの、と、私は受け取りました。

胸のあたりの塊がほぐれて楽になったあと、急に意識されてきたのが背中の真ん中の重たい感じですが、これが、身体をゆすったりくねらせたりして意識的にゆるめることで、楽になってきました。一時は背中ぜんたいがバラバラになってしまいそうに痛みましたが、それも半日ぐらいで治まり、ゆる〜、ぐた〜、っという感じにほぐれてきました。まだ芯のようなものが残っている気もしますが、以前とは全く違います。

ほんの数日、本に書いてある方法を真似して意識してちょちょっと動かしただけで違いました。
つまり、私は、その、ちょちょっと、のことも全然やってこなかったということらしいです。

こういうとき、世の中には、そのくらいのこと、自然にやっているよ、とか、
子どものときから当たり前にやっているよ、というような人がいるんだろうなぁ、って思います。

と同時に、これが理論になって本になっていることや、一流のスポーツ選手のトレーニングにも採用されているということを思えば、まだまだ奥が深いんだろうなぁとも思います。

この本には、「ゆる体操」が精神状態を良くすることにも効果があると書かれていて、子どもや若者の再生の実績が紹介されています。ここでは、ニートやひきこもりなどに関連して、対人不安を感じる心身の状態を、「社会不適応症候群」と総称しています。
これは、精神医学や臨床心理学方面ではあまり聞いたことがない名称ですが、なかなか言い得て妙だと思います。

かれらは、身体が固まっていて、たるむことも締まることもできないのだといいます。ちょっとだけ締める、たるむ、を繰り返してその幅を広げていったら、全体的にゆるめることができると書かれていました(p.158)。

これは、私が経験したことと一致します。わざと力を入れて筋肉を固くする、そのあとで力を抜いてゆるめる、というやり方で、手足の筋肉から順番にほぐしてきました。

今の社会は、おとなも子どもも、締まることばかりやりすぎるのだと高岡氏は言います。意識的にたるませて、ゆるゆるの身体にしておくことで、必要なときに身体も精神も引き締めて、集中力を出せるのだということでした。

より深いゆるゆるへ。生活の中にも集中とリラックスのめりはりをつけていったらいいのだろうと思います。