近況その他

倫理を論じることは結局教養を論じることになる

結果主義と倫理意識を並べて論じることに違和感を覚える人もいるのではないでしょうか。それほど結果主義は当たり前のようになってきました。(ここから読む方は前の記事も参考に)たとえば、企業が利益さえ上がればどんな手段をとっても良いのなら、最終的…

私が家族療法を受けなかった理由

今となってみれば、息子の不登校には家族カウンセリングが合っていただろと思います。 でも、私は家族療法を受けなかったし、受けようとしませんでした。家族療法というジャンルがあることを知らなかったかというと、そうではありませんでした。 不登校が家…

再び「悔しい」という感情について

駅伝の選手が走り終わった後に泣いている映像をテレビで見ました。 制限時間内にゴールできなかったために、次の走者が繰り上げスタートになってしまい、たすきを渡せなかったという場面でした。ああ、悔しいだろうなぁ。。。悔しさが私の身体に伝わってくる…

水面の天井を越える

2015年1月1日です。世間にはガラスの天井ということばがあるらしいです。キャリアを積もうと社会でがんばってきた女性たちの間では良く知られた言葉のようですが、私はそのようなものとは縁のない世界に生きてきました。ガラスの天井とは、「資質又は成果に…

世の中と歯車がかみ合う感覚

アルバイトを始めました。ほんの少しですが、初めてのお給料が口座に振り込まれました。もちろん嬉しいのだけれど、ヘンな気分です。なかなかうまく表現できないし伝わらないとは思うのですが、私はただ専業主婦だから働いていなかったというのではなくて、…

目から鼻に抜ける道

「目から鼻に抜ける」という表現は、辞書を引くと非常に頭の働きが良い様子を指すと書いてあります。目と鼻の間にどう「抜ける」のか、どの穴を指しているのかよくわからないですよね。。。。でも、もしかしたら、このことじゃないか、と、思い当たる経験を…

音感教育を3歳から受けたことを50歳過ぎて振り返ると

音楽教室の話が出てきたので、ちょっと補足も兼ねて書き留めておきます。3歳から音楽教育を受けた、という話から普通連想するのは、お金持ちで学歴の高い両親とか、親も音楽家とか、そういうイメージなんじゃないかと思うのですが、私の場合は違います。私は…

背面を開いて前屈

オペラ初挑戦に当たって、まず声作りから取り組んでいます。 なにはともあれ、本番で声が出なくなったら、みんなに迷惑をかけてしまいます。 力まず、遠くまで通る声が出せなければ話にならないのです。『声の呼吸法』(米山文明、平凡社2003)この本を読み…

勇気のホルモンX

実は、いま、就職活動もしています。息子のことじゃなくて、私です。 アルバイトを探しています。結婚退職してから二十年あまり、病気もしたしいろんな面で自信をなくしていましたから、 社会に出るのはとても不安があります。でも、このまま一生を終わりた…

確かにあのときから変わった、アサーション

オペラに準主役で出る話は、急に降ってきました。 数年前の私では、考えられない話です。振り返ると、半年前ぐらいから続けていろんなことが起こってきたように感じます。傾聴ボランティアの代表。会員の投票で、どんぐりの背比べのような得票数で選ばれてし…

何かになりきることで自分を表現できるドラマセラピー

実は、来年、小さなホールでオペラに出演することが決まっています。準主役です。音大も出ていないし、本格的に声楽の先生についたこともない私が、どうしてこういうことになってしまったのか、そのあたりは省略します。とにかくやることになってしまいまし…

人が人を所有することがない国、日本

夫が私よりちょっと年上ということもあって、同居した義父母は大正生まれと昭和のはじめの生まれです。ふたりとも、とても働き者で、元気でした。休日とか平日とか、そういう区別はなくて、いつもパタパタと動いていて、いつ休養しているのだろうと不思議で…

そもそも西洋はずっと東洋より進んでいたのか

「アメリカに追いつき追い越せ」というのは、私たちは子どものときによく聞かされた言葉です。アメリカは進んだ国だというイメージをことごとく刷り込まれました。20代の頃、サンフランシスコでゴールデンゲートブリッジを見て、これが作られた年号を確かめ…

この国は何を目指していくのかを考えるための本

放送大学の夏休みに、今年は、この本を読んでいました。『この国のかたち一〜六』(司馬遼太郎、文芸春秋1990〜1996、文庫化されています)私は歴史小説のファンではなく、この方の作品もほとんど読んでいないのですが、これは小説ではなくて、雑感をまとめ…

星空に奥行きがあると気づいた人はすごいと思いませんか?

立体とか奥行きに関して、調子に乗ってもうひとつ。星空に奥行きがあると気がついた人はすごいと思いませんか。教科書どおりにいくと、昔の人だけが空を板でできたドームのように考えていたことになりますが、今空を見上げても、奥行きはなかなか感じるもの…

まてよ、ピカソ

また、一つ前の記事を読んでいて、まてよ、と思ったので。ピカソなどのキュビズムの作家が描いた絵というのは、素人にはわかりにくい絵の代表のようなものですよね。なぜわかりにくいか。 別々の視点からしか見えないものが、一つの絵の中に一緒に描かれてい…

そうか、ピカソ

自分の書いた記事を眺めていたら、そうか、ピカソ、と思った次第です。つじつまが合わないと思えることも、同じもののうらおもてであったり、正面と側面であったりすることがある。と、ひとつ前の記事で書いていますね。これはあくまでもものごとの評価や価…

葛藤することが人を深い場所に連れて行く

世の中のつじつまの合わないことは、同じものの表と裏であったり、正面と側面であったりすることに気づくときがあります。意見が対立していても、相手の持つ文脈を理解することで合意の道筋を探ることができます。そんなことを考えていたところでした。ちょ…

大きな歴史の流れの中で国境線は変わっていく、戦争ではない形でそれを実現する方法は。

難しい時代が来たなと思いますが、ある意味これは来て当たり前だったのかもしれないです。今の国境線は、数十年前の力関係を反映した形で決められ、国の力のバランスも、情報や物流の事情も変わってしまった今、国境線を変えたい人たちが出てくるのは至極最…

モードの切り替えと現代気質

ルビンの壷は平面に描かれたトリッキーな絵で、現実的なものではありません。 文脈ということをたとえるならもっと立体的なものです。円錐を上から見るとまる、横から見ると三角、といったこと似ているかもしれません。また、利害の対立のような場面では、同…

文脈を読む力は開発できるはず

文脈ということを私がきちんと意識し始めたのは、数年前、45歳ぐらいのときです。 数人でおしゃべりしているとき、そこに川の流れのような方向性がある、という感覚で気がついてきました。恥ずかしながら、それまでの私は、そこで話されている話題の流れよ…

人間関係にオクテであることは決してマイナスではないはず

本田秀夫『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体 (SB新書)』の中で、特に印象に残ったのが、 ルビンの壷のたとえを使った、地と図の切り替えの話でした。ルビンの壷というのは、見ようによっては壷にも人間の顔が向かい合っているよう…

謙虚と卑屈の違いは、本当の謙虚がわかるまでわからない

謙虚と卑屈が違うということは、頭ではわかっているつもりでした。20代のころ、「好きな言葉は」と聞かれたら、謙虚と答えることにしていました。 目立ちすぎず、周りを立てることや、知識をひけらかさないこと、場を仕切らないこと、 そういうことが謙虚…

身体が緩んで初めてわかる、人の気持ち

ほんの少しずつ、身体が緩んできました。腕だけ、肩だけ、背中だけ、わき腹だけ、という風に、その日に重たいと感じる場所に意識を集め、5秒ほど力をぐっと入れて、それから解放します。その場所が軽くなると、次ぎの場所が気になり始め、そこを緩めると、…

ご愛読ありがとうございます

本日、このブログのアクセス数が 10000ページビュー を超えました。皆様 ご愛読ありがとうございます。来てくださる方の数はそう多くはないのですが、お一人でたくさんの記事を読んでいかれるかたが多く、大変嬉しく思っています。自分の心の変化をつづり記…

精神科の診察室と、カウンセリング室はどのくらい違うのか

放送大学大学院の前期試験が終わりました(私は選科生として学んでいます)。今期は、『精神医学特論』と『臨床心理面接特論』を並行して勉強していましたが、二つ同時に学んだことで、対比してしまうというか、考えさせられることがありました。以前に『セラ…

時間のスキルと空間のスキル

前の記事で、時間に遅れないためには スキル が必要と書きました。知っているだけではだめだと思います。ちょっと訓練して慣れなければだめです。 時間を感覚として掴むのは思うより簡単ではないと思います。私たちのこころの中での時間は、物理の法則のよう…

わからなくてできないのとわかるけどできないの間

できるけどしない、と、できない、のは見た目同じ というのは前項で書きました。もう少し引っ張ります。遅刻の常習犯というのはどこのグループにもいます。事情がある場合も多いでしょうが、 そもそも本人が時間通りに間に合うためのスキルを持っていないと…

できるけどしないのとできないのは見た目は同じ

向山氏がドリルを「手抜き」と呼んでおられたので、ちょっとこだわっています。手抜きというのは、やればできることをやっていないというニュアンスを含んでいますよね。 洗濯であれば、汚れのひどいところをちょっとつまみ洗いしたり、部分的に漂白剤でもん…

手抜きは合理的かという問い

洗濯機を使って衣類を清潔にするのは、手抜きだと思いますか?機械が水の量や水流を調節し、放っておいたら脱水までやってくれます。ありがたい、便利な道具です。これを使うのは、合理的な選択だと思います。でも、微妙な風合いの繊維や、手作業でなければ…